不動産賃貸経営でリスクを下げる方法の一つに「サブリース」というものがあります。まあ僕はリスクを下げるという点について全くの嘘っぱちだと思っていますが。
こんなものを持ちかける不動産管理会社も悪質ならば、それに乗せられて契約してしまう不動産オーナーもアホだと思っています。もちろん、全てのサブリース契約が悪質と断言はできませんが、契約形態の構造上悪質にならざるを得ないものだと思っています。
という事で、サブリースとはどんなものなのかという話から、なぜ僕が嫌いなのかを以下に解説します。
そもそもサブリースとは
管理会社がマンションを一括借上げして、空室になろうが埋まろうが一定の家賃を保証してくれるというものです。
家賃月5万円の部屋が10室ある不動産があったとします。この場合の満室月額賃料収入は50万円です。しかし2室空きがあれば賃料は40万円、4室ならば30万円となります。
これを管理会社が一括で借り上げ賃料の80%を保証するという契約であった場合、全室埋まっていようが空室であろうが、月額賃料収入は満室賃料の80%である40万円となります。これが空室状況に関わらず一定で入ってくるため、リスクは少なくなりますよという話です。
仮に返済比率60%であった場合、毎月の返済額は30万円です。4室の空きでプラスマイナスゼロで、5室以上の空きが出たらマイナスとなります。
ここにサブリース契約があった場合は、4室の空きでも5室以上の空きでも、家賃収入はプラス10万円となります。
「ふむふむ、これならばリスクを下げられるな」と思ったあなた、ヤバいですw
サブリース契約は入居状況に応じて解除されるもの
仮に10室全部が空きだった場合、管理会社に入る家賃はゼロなのに、不動産オーナーには毎月30万円払い続けなければならないという状態になります。
いつまでもこんな出費をしていては管理会社も立ち行かなくなってしまうので、入居状況が悪くなれば契約解除されてしまいます。というか、契約書内にそういう一文が必ず入っているはずです。
万々が一にその一文が入っていなかったとしても(ありえない事ですが)、裁判すれば勝てるかというとそうとも言えません。裁判所も、会社を潰してまで払えと言うとは考えられません。
さらに万々が一に裁判所が管理会社に対して保証した家賃を払えと命令したとしても、それを払い続けたおかげで管理会社が倒産してしまったら、結局オーナーにとっては保証されるはずの家賃が入らないことになります。
「サブリース契約でローリスク」のウソ
サブリース契約をした不動産管理会社にとって、入居状況が良い場合は家賃の上前をはねる事ができ、入居状況が悪くなれば契約を切ることができる、というものです。つまり、ローリスク・ハイリターンです。
逆にオーナーにとって、入居状況が良い場合は家賃の上前をはねられて、入居状況が悪くなればリスクを被るのは変わらず自分のままです。
仮に自力で客付けするのをハイリスク・ハイリターンとするならば、サブリースではリターンの一部を管理会社に渡して、対してリスクはそのままとなります。なのでサブリース契約することはリターンを下げる事に他なりません。
そう考えると、サブリース契約するオーナーはアホだと言いたいのも分かってもらえるでしょう。
おまけ
自分が頑張ろうと頑張るまいと一定の家賃が入ってくるとなると、人は経営努力を怠ります。これは人間の性質上どうしようもないことです。つまり、不動産オーナーとしてのレベルアップも望めません。
それでもお金が入ってくるならばいいという考えもあるかもしれませんが、はっきり言ってつまらないです。上記の例だと最大で月収50万円になるはずのところ、どんなに調子よくても月収40万円にまでしかならないというのはモチベーションも下がります。
僕も最初の頃は不動産を持って空室に悩んだこともありました。それでもいろいろ試行錯誤して、自分の足で管理会社も何軒も回って、ようやく上手く回る状態にまで持ってくることができました。自分の考えた施策が上手くはまっていい方向に進み始めると、すごく面白いですよ。恐らく脳内ではドーパミンあたりがドバドバ出てますw
頑張ろうが頑張るまいがみんな同じ豊かさという共産主義的な考えよりも、頑張れば頑張っただけ自分が豊かになれるという競争があったほうが、社会全体もいい方向に向かうと思っています。
かぼちゃの馬車の話では、入居者から管理会社に家賃が支払われても、管理会社がそれをオーナーに払わなかったという事もあったようです。これについてはさすがにオーナーに非はなくて100%管理会社が悪いと思います。しかしそれを除いても、サブリースという形態を選ぶオーナーはどうかと思います。
大体、家賃保証しれくれないと収支が回らないかもしれないような物件は買うなという話です。大金を出す以上は、自分でしっかりと周辺の空室状況や市区町村単位での人口推移などを見て、何室の空室までは出ても収支が回るという判断を自分で下すべきです。
それに、大きな金額の出資判断を他人に任せる人が多すぎるというのも感じています。お年を召したご老人が「よく分からないけど○○さんの言う事ならば」と自分で理解せずに数千万から億単位のお金を出してしまうというのもよくあるようです。スーパーで数百円の買い物をする際にはじっくりと商品を見定めて自分で判断するくせに、です。どうせ責任を取るのは自分になるのだから、出資するべきかどうかも他人に任せずに自分で判断しましょうよ、という話で締めくくります。