ebay輸出での会計処理2 PayPalのドルからebayにドルで手数料を支払う場合

昨日に続き、仕訳を考えます。

会計処理は事業において何の利益も生み出さない活動なので、できるだけ手短に済ませたいです。
ですが必要な処理であるので、考えないわけにはいきません。

ということで行ってみましょう。

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昨日出てきた疑問

ネットで調べてみて、PayPalの残高を全額引き出すような例は結構多く見つかりました。
昨日の記事で書いた例もそれにならっています。

ですが、ebayへの手数料の支払いなんかのためにドルを一部残しておきたいというのがむしろ一般的のような気がします。
その時はどういう仕訳になるのか?

そしてPayPalのドルからebayの手数料をドルで支払った場合の仕訳は?

あと、PayPalに残高を残したまま期末を迎えた場合の処理はどうなるのか?

などの疑問が出てきました。

売買等の例

また例を作って、それを元に考えてみようと思います。

2015年4月1日
国内のお店から、商品Aを50,000円で、商品Bを60,000円でそれぞれ仕入れ

2015年5月1日
ebayで商品Aが売れた代金450.00ドルをPayPalに入金
(この日のレートは1ドル=120円なので、450.00×120=54,000円)
(この時点でのPayPal残高450.00ドル)

2015年6月1日
PayPalからebayに手数料45.00ドルを支払い
(この日のレートは1ドル=121円なので、45.00×121=5,445円)
(この時点でのPayPal残高405.00ドル)

2015年7月1日
PayPalから100.00ドルを日本の銀行口座へ移動
(この日のレートは1ドル122円なので、100.00×122=12,200円)
(この時点でのPayPal残高305.00ドル)

2015年12月31日
期末
(この日のレートは1ドル123円)
(この時点でのPayPal残高305.00ドル)

2016年1月1日
期初
(この日のレートは1ドル123円)
(この時点でのPayPal残高305.00ドル)

2016年6月1日
ebayで商品Bが売れた代金500.00ドルをPayPalに入金
(この日のレートは1ドル=119円なので、500.00×119=59,500円)
(この時点でのPayPal残高805.00ドル)

2016年7月1日
PayPalからebayに手数料50.00ドルを支払い
(この日のレートは1ドル=117円なので、50.00×117=5,850円)
(この時点でのPayPal残高755.00ドル)

2016年8月1日
PayPalから150.00ドルを日本の銀行口座へ移動
(この日のレートは1ドル=118円なので、150.00×118=17,700円)
(この時点でのPayPal残高605.00ドル)

2016年12月31日
期末
(この日のレートは1ドル=116円)
(この時点でのPayPal残高605.00ドル)

2015年は円安傾向にして為替差益が出るように、2016年は円高傾向にして為替差損が出るようにしてみました。
あと、これは例であって実際の為替レートとは違うので、それについては文句言わないでください。

PayPalからebay手数料をドルで支払う場合の仕訳

長くなりそうなので、分けて考えます。
今日は、PayPal残高のドルから一部をebayにドルで支払いするところ、つまり上の例で2015年6月1日までを考えます。

では見ていきます。

2015年4月1日

借方貸方
仕入金額50,000預金50,000
仕入金額60,000預金60,000

ここは問題ありません。

2015年5月1日

借方貸方
外貨預金54,000売上54,000

ここは昨日の記事で書いたところなので、これも問題ありません。
この時点での帳簿上の外貨預金の金額は、この日のレートで計算されたものです。

2015年6月1日
外貨預金から5,445円分を引いただけだと、残高が54,000-5,445=48,555円となります。
これをこの日のレートでドルに換算すると、48,555÷121=401.28ドルになり、実態と合いません。
簿価のレートでドルに換算すると、48,555÷120=404.62となり、これまた合いません。

じゃあどうするかというと、為替差損益で調整します。
この調整方法が難しいところです。

(1)手数料の支払いがあった日のレートで外貨預金の残高を都度再評価する場合

まず、この日の支払い前のPayPal残高は450.00×121=54,450円で、54,450-54,000=450円が為替差益になります。
ここで外貨預金を再評価するならば、以下のようになります。

借方貸方
外貨預金450為替差益450
支払手数料5,445外貨預金5,445

1行目が、その日のレートで外貨預金の残高を再評価したものです。
2行目で、再評価後の残高から手数料分を支払っています。

これで、手数料支払い後の外貨預金の残高は54,000+450-5,445=49,005円となり、1ドル=121円で計算すると49,005÷121=405ドルとなるので実態とも合います。

(2)簿価のレートのまま残高を増減していって、期末で纏めて再評価する場合

もし簿価のレートで計算するとなると、どうなるでしょう。
というのを考えてみます。

支払い後の残高は405.00ドルなので、これを1ドル=120円で計算すると405.00×120=48,600円になります。
支払い手数料はさすがにこの日のレートで計算するべきだと思うので、5,445円をそのまま使います。

これで支払い後の残高を計算すると54,000-5,445=48,555円となり、上で計算した残高よりも45円少なくなります。

この45円は何ぞやと言うと、1ドル=120円で計算した時の手数料45.00×120=5,400円と、1ドル=121円で計算した時の手数料45.00×121=5,445円の差分です。
同じ45ドルを手数料として支払っているのに、円に換算したら従来の金額よりも45円多く払ったことになっちゃったというもので、この分は為替差益になります。
支払額が多くなっているので損のようにも見えますが、自分の支払額は何も変わっていないのに相手が余分にもらって得をしていると感じているものなので、益でいいでしょう。

相手の得は自分の損というような卑屈な考え方はやめましょう。
関係ないけど、自動車で我先にという気持ちで行った結果渋滞が余計にひどくなって、自分を含めた全体の到着時間が遅れるというようなものです。
こういう人の考えは、絶対的な到着時間が遅くなったとしても他人より早いならばそれで満足というものだから困ったものです。

そんなことはここではどうでもよくて、以上のことから仕訳は以下のようになります。

借方貸方
支払手数料5,445外貨預金5,445
外貨預金45為替差益45

1行目が外貨預金の残高から手数料を支払ったところです。
簿価のレートと手数料のレートが違うためにそのままだと差が出るので、それを調整しているのが2行目です。

これで、外貨預金の残高は54,000-5,445+45=48,600円となり、1ドル=120円で計算すると48,600÷120=405ドルとなり実態と合います。
纏めて書いて、

借方貸方
支払手数料5,445外貨預金5,400
為替差益45

としてもいいと思います。
こう書くと、支払った手数料の内一部はポイントを充当したみたいで、そのポイント分が為替差で得た利益だというのがイメージしやすいと思います。

なんで(2)みたいな事を考えたかというと、(1)だと入出金があった時に残高を再評価するので、じゃあ入出金がなかった場合は評価せずに実態とかけ離れていくのではないかと思い、それならば期中は簿価のレートのまま処理を進めて期末に纏めて再評価する方がいいのではないかと考えました。
しかし、(2)だと余計にごちゃごちゃしそうです。
あと、期末に纏めて一度で評価しようが入出金の都度評価しようが、期末の評価で所得が確定するので、はっきり言ってどっちでもいいと思います。

為替差損益の計算方法(1)

(1)の場合、450円というのを計算によって求める必要があります。
これを計算するにあたって、必要な物は以下のとおりです。

・その日のPayPal残高(ドル)
・外貨預金の簿価
・その日のレート

これらを使って、(その日のPayPal残高(ドル)×その日のレート-外貨預金の簿価)で、外貨預金の簿価を調整します。
値がプラスだったら、

借方貸方
外貨預金xxx為替差益xxx

とします。

値がマイナスだったらその絶対値を使って

借方貸方
為替差損xxx外貨預金xxx

とします。

ということで、その日のレートはしっかり抑えておく必要がありそうです。

でもこれでやると、入出金がある度に為替差損益がどんどん積み重なっていきます。
それで決算書を作って、実態に合っていると言えるのかどうか分かりません。

もちろんそこから計算される所得には差がでないと思いますが、損益計算書としてはおかしなことになるのではないかと思います。

株で例えるならば、1億円の株と100円の株を持っていたとして、この全てで売買を繰り返せば損益の金額が積み重なるというのは分かります。
でも1億円の株は売らずに保有したまま、100円の株を売買しただけで1億円の分までその日の時価で再評価して損益を積み重ねていくようなイメージです。

そうなると、やっぱり(2)の方式の方がいいような気もします。
(2)の方法だと、為替差損益を積み重ねるのは入出金したお金の分だけになります。
上記の株の例えで言うと、売買した100円の分だけについての損益を積んでいく感じです。

為替差損益の計算方法(2)

これについても考えてみます。
45円というのを出すのに必要な値は以下のとおりです。

・簿価のレート
・その日のレート
・支払った手数料(ドル)

これらを使って、(支払った手数料(ドル)×(その日のレート-簿価のレート))で手数料分についての為替差損益が計算できます。
値がプラスだったら為替差益として、

借方貸方
外貨預金xxx為替差益xxx

とします。
値がマイナスだったら、その絶対値を為替差損として、

借方貸方
為替差損xxx外貨預金xxx

とします。

どちらの方法でもいいと書きましたが、ここまで纏めてみると(2)の方がいいような気がしてきました。

どちらにしても、入出金があった当日のレートは抑えておく必要があります。

以前ぼくはPayPal残高からebayに手数料を支払っていますが、その日のレートなんてどこにもメモしていません。
どうしましょ(笑)。

でもよく考えてみたら、PayPalがレートを公表しているわけではなかった気がするので、他のサイトでこの日のレートを調べて計算するのでよさそうな気がします。

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